運動不足解消で病気やストレス軽減などさまざまな改善が見込まれる

脳科学

運動をすることによるメリットとして、健康になることや老化防止のためだけと思っていませんか?

運動不足を解消することによって得られる効果を脳科学からお伝えします。

運動不足がどれだけ危険なことなのかもわかると思います。

運動不足の解消をするためのモチベーションがいるなら、運動が健康や脳に与えるメリットを考えればいいのです。

それでもまだモチベーションが上がらなければ、運動が人生にどれほど大きな効果をもたらすかを考えてみるといいでしょう。

 

 

運動不足解消で体の健康と脳の健康

 





イリノイ大学の研究の結果で、

BMI(適正体重)と有酸素運動が学力に大きく影響していることがわかっています。

 

有酸素運動を30分以上続けると脂肪が燃焼されはじめダイエットにもいいのは知っている方も多いと思います。

 

週二回30分以上の有酸素運動をするとアルツハイマー病になる確率が3分の1になるということは知らない人の方が多いのではないでしょうか。

 

まず有酸素運動によって、海馬と前頭葉が活性化されます。

 

海馬は記憶に関係し前頭葉は思考に関係しています。

 

ニューヨーク大学神経科学センターの神経科学と心理学の教授であるウェンディ・スズキ氏は、「運動は、ストレスの軽減、集中力の向上、生産性の向上、記憶力の向上、創造性の向上させる効果もあるようです」と言っています。

 

また運動は、海馬の新しい脳細胞をつくり、その細胞を成長させ、海馬を大きくして記憶力を高め、前頭葉も成長させ大きくなるとも言っています

 

研究結果によれば、想像力と思考力は、海馬や前頭葉の働きによるもので、運動がおよぼす影響は大きいと考えられます。

 

ウェンディ・スズキ氏のTEDのスピーチはこちら☟

脳によい変化をもたらす運動の効果  ウェンディ・スズキTEDWomen 2017

 

運動不足の解消は学習するための準備

 

 

運動すると脳の中でBDNF(脳由来神経栄養因子)というタンパク質がつくられ、そのタンパク質が働きニューロンの成長や新しいニューロンをつくりだします。

 

運動によってニューロンを成長させ新しい思考回路がつくられるということです。

 

ニューロンとは、脳を構成する神経細胞で入力の樹状突起と出力の軸索があり

つなぎ目はシナプスと呼ばれています。

 

運動によって、せっかく新しく思考回路が出来ても使わなければ消えてしまいます。

 

生まれた新しいニューロンを死なせないためにも、運動後は学習することが大切です。

 

マウスの実験でも脳内のBDNFの発現を約半分に減らした実験より、学習能力が低下することもわかっています。

 

運動をしてBDNFを増やすことにより学習能力が向上するということです。

 

運動は、学習に適した脳内環境をつくりだしているのです。

 

大昔、人間は頭と体を同時に動かして獲物を捕らえていました。

その頃のなごりで運動が頭の働きをよくするのだと考えられています。

 

運動不足を解消すると集中力がアップする

 





運動によって、ドーパミンホルモンが分泌され、脳が活性化する。

 

運動によって、血液が脳にたくさん運ばれ脳がベストの状態になる。

 

前頭葉は、集中力をコントロールする働きもあるので、運動によって前頭葉が活性化され集中力の向上につながります。

 

ジョージア大学での研究結果として、20分ほどの軽い運動をすると3~4時間集中力が高まるといっています。

 

運動不足の解消はストレスを減らす

 

 

ドイツのカールスルーエ工科大学の実験では、

 

学生を2つのグループに分け、半分は週に2回20週間ランニングを実行するように指示しもう半分には何も指示しませんでした。

 

ちょうど20週の終わりには、ストレスが高くなる試験がありました。

 

学生に、生理学的ストレスの一般的な指標である心拍数の変動を測定させました。
(変動性が高いほどストレスが少なくなります)

 

ランニングをした学生は、心拍数の変動が大きくなって、試験中にもかかわらずストレスを感じなかったのです。

 

実験から運動はストレスを減らす効果があります。

 

運動不足を解消するとさまざまな病気の改善につながる

 

 

運動は、抗うつ剤と同等の気分をあげる効果があると知られています。

運動は、副作用もなく抗うつ剤よりも再発が少ないのです。
抗うつ剤の再発率は38% 運動の再発率はわずか8%だそうです。

 

精神的にストレスがかかった状態と運動中に体に起こっている生理現象は似ていることから、(運動=ストレス)が悪い事ではないと学習しストレスやうつに強くなっていくのです。

 

運動は、ADHDや依存症の治療にも効果的だということもわかっています。

 

運動中は、自分の体の状態に集中することから、注意や集中と言った脳の領域が活性化されADHDや依存症の改善に役立っているのです。

 

また人は、危険を感じると偏桃体でコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。(偏桃体 感情に関係している)

 

うつの人は、慢性的なストレスで、コルチゾールが過剰になり、

 

海馬のニューロンが途切れ脳細胞の成長が止まり海馬が小さく委縮することがわかっています。

 

海馬は感情の暴走にブレーキをかける役目もあるので

 

海馬の情報が低下し、感情の暴走が止められなくなります。

 

運動をすることで、小さく委縮した海馬や前頭葉を大きくすることとコルチゾールの分泌量が減少することで、うつの改善につながるということです。

 

余談ですが、コルチゾールは、脂肪の燃焼をさまたげ、高カロリーな物を食べたくなるということがあるので、コルチゾールの過剰は肥満につながります。

 

運動不足の解消は創造性にも関係している





さきほどの、ウェンディ・スズキさんも創造性にも関係があると言っていますが、

 

作家の村上春樹氏もインタビューで、ランニングが仕事へ影響していることを語っています。(ランニングの本を出版しているほどです)

 

走っている間は特に何も考えないようにしています。

実を言うと、たいていの場合、心を無にして走ります。

心を無にして走ると、時々何かが自然と不意に頭に浮かぶことがあります。

そして、それは執筆の役に立つアイデアになるかもしれません。

けれども基本的には何も考えないようにして走り、リラックスして心を落ち着けるようにします。

執筆中に熱くなった神経の興奮を鎮めるために走っているのです」

と語っています。

 

上村さんは、創造性を高めるためにランニングを取り入れたのではないでしょうか?

 

運動の量と期間

 

1回1時間を週2~3回がいいと言われていますが、私は20~30分毎日習慣化するように有酸素運動をやっていこうと思ってます。

まずは、カールスルーエ工科大学の実験のように20週を目標に頑張ってみてはどうでしょうか?

 

まとめ

 

運動不足を解消することによる効果

ストレスの軽減

集中力の向上

生産性の向上

記憶力の向上

創造性の向上

うつの改善

アルツハイマー病のリスクが低下

ADHDや依存症の改善

肥満の解消

 

 

参考文献 「脳を鍛えるには運動しかない」 ジョンJ.レイティ著

 

運動に様々な効果があるように、腸内フローラにも様々な効果があるので、

こちらの記事も参考にしてみてください。

やる気や集中力の低下、仕事の生産性が悪いのは腸内フローラが原因?

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